TOP >> おおむたの宝もの100選

  このページは大牟田市役所に勤務する主査・主任で構成する互助組織「大牟田市役所主査・主任会」で編集され発刊された「大牟田の宝もの100選」という本の中から隔週ひとつづつ紹介していくページです。
|人に優しく、自然を体感できる現代建築|
建物
Vol.35
不知火病院「海の病棟」
大牟田市大字手鎌1800▼県道南関手鎌線の新堂面橋、北西200メートル▼TEL非公開
 不知火病院は本館、サポートセンター、ストレスケアセンターなどで構成され、内科、神経科、精神科などの治療か行われている。ストレスケアセンターは「海の病棟」とストレス外来からなり、前者は長谷川逸子・建築計画工房の設計で、1989年12月から使用されている精神科のストレス疾患の治療病棟である。後者は1999年1月、前者に連続する形で建設された。
 院長の徳永雄一郎氏は、現代病の1つであるストレスによる疾患を治療する上で建築も大事な道具と考え、自然とのふれあいを重視した快適な空間を目指し、長谷川逸子氏に設計を依頼した。
 「海の病棟」は鉄骨造2階建て、1階724.3平方メートル、2階784平方メートル、堂面川の河口、白銀川が合流する位置で川に臨むように立つ。1階には食堂、ワークショップ、リビングルームなどがあり、2階には病室、デイルーム、ナースステーションなどがある。病棟には曲面、曲線を多く用い、パステルカラーで柱、壁、天井などを細かく塗り分け、小さな窓をたくさん設け柔らかくして優しい空間を演出している。そして、海・河口の干満、潮の香り、風の音、雨の音など、自然を体感すことができる。バルコニーでは船上にいる気分に浸ることができる。
 全部で36床の病室は、「ペガサス」、「オリオン」、「アンドロメダ」、「みずがめ」などの室名がつけられ、4人部屋を基本とする。収納ボックスで間仕切りを行って1人の領域を形成しながらも、空間は連続するので他の患者との一体感は保たれる。また、天井に変化をつけて空間の広がりをもたらしている。各病棟の独立した屋根、三角形のパネルを組み合わせたバルコニーの手摺、それを支持する細い柱は外観に変化と軽快さを与え、自然の変化に対応する。
 設計者の長谷川逸子氏は、当建築で1991年に福岡県建築住宅文化賞大賞、翌年に病院建築賞を受賞し、1986年には日本建築学会賞作品賞(眉山ホール)、1992年にはBCS賞(藤沢市湘南台文化センター)などを受賞している。この「海の病棟」は、日本を代表する女性建築家による優れた現代建築であり、人に優しい建築である。


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