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大牟田市の米の山や歴木あたりから南側の市街地を中心に広がっている地層は、化石が産出することで知られている。地層は新生代古第三紀の始新世中期と呼ばれる、今からおよそ5000万ー3800万年前の年代のものである。この地層には、二枚貝や巻貝、魚類などの化石がたくさん含まれ、始新世動物群化石として着目されている。
この時期の環境は、特徴的な地層の様子や化石の種類などから、かなり暖かく(熱帯ー亜熱帯)、多湿な気候であったと考えられている。古地理的には、今の三池山に形成する玉名花崗閃緑岩の山地が次第に低下し、やがて湿地帯をつくるようになるとともに南方から海(古有明海と呼ばれている)が入ってきた時期である。この時に、浸入しはじめた古有明海の湾奥の部分で堆積したのが大牟田層群の地層である。
大牟田層群は主に米の山や稲荷山などに分布しており、地層の下のほうから(年代の古いほうから)、米の山層、稲荷層、七浦層の3つの地層からなっている。これらの地層には、湾奥部の海水と河川から淡水がまじりあった環境(汽水)」のもとで生息する巻貝や二枚貝の化石が多く含まれている。また、カニや甲殻類の巣穴の化石(砂管)が密集してできており、古有明海の生産性の高さが窺われる。
ところで、大牟田層群には石炭層が多く含まれている。当時、温暖な気候下で陸上には植物が繁茂し森林(ヌマスギなど)が発達していた。古有明海の湾奥の静かな環境の部分には、こうした森林から供給された大量の倒木が積み重なり、埋もれていった。これらが大牟田に分布する現在の石炭のもととなったものである。1メートルの石炭層が作られるのには、静かな環境下での倒木の蓄積が少なくとも数万年はつづいたと考えられている。
その後、古有明海はだんだんと北部九州のほうへと浸入していき、海水の影響が強くなっていく。このような、主に沖合いの海水の環境で形成された地層が万田層群の勝立層と四ッ山層である。大牟田層群では、二枚貝と巻貝、それに稲荷層の石炭層に伴った植物化石しか産出していない。だが、万田層群からは、二枚貝、巻貝、植物に加えてオウムガイ、椀足類(シャミセンガイの仲間)、サンゴ類(単体サンゴ)、ウニ、カニ、サメの歯などの多彩な化石が見出されている。特筆すべきはシシンオキナエビスガイ(Perotrochus eocinicus KURODA et URATA)で、始新世のオキナエビスガイ類としては世界で初めて勝立層から発見されたものである。大牟田を代表する化石といえる。
大牟田の古第三紀の地層から産出する化石は,少なくとも、二枚貝35種、巻貝26種、掘足類1種、頭足類3種、腕足類3種、サンゴ類2種、棘皮類2種、甲殻類5種、魚類3種、植物化石8種の88種に及んでいる。特に勝立化石層は、日本や東南アジアで代表的な始新世動物群を産出し、ほかの地域と対比し年代を調べたり環境を推定する指標として、日本の始新世の地層中でもぬきんでた評価を与えられている。また、ほかの地域と比べて交通の利便がよく、まとまった地域で化石が出てきているなど立地条件面でも優れており、文化財としてきわめて重要な価値がある。
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