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     炭鉱

    vol.43 旧三川電鉄変電所

    解体の危機から「サンデン」が救った宝物

     旧三川電鉄変電所は、三池炭鉱専用鉄道の高架土盛りえを隔てて、三池港の東に隣接する位置に立つ優美なれんが建物である。2棟の屋根が連接して1つの建物を構成する様に建設されている。
     東西約33メートル、南北約17メートルの、東西に長い建物である。南に面した長い壁には、2つの出入口と、6つの窓が並んでいる。軒に近い高い部分にも小さな窓のようなものが12個並んでいるが、この内の10個は太い電線がつながっていた碍子がはまっていた跡である。東に面する短い方の壁には、二つの出入口と1つの窓が並んでいる。
     窓や出入口などの開口部は、すべて上部をアーチ型にれんがを組んで、しゃれた意匠となっている。2棟の屋根の間の支壁は、れんがで構築した上に漆喰を塗って白くしてあるが、外壁と同様に上部がアーチをなす開口部が並んでいる。
     赤れんがをイギリス積みにして建築されており、1909年からすでに90年以上経ているが、非常に遺存状態が良い。三池炭鉱関連のれんが建物の中では、最も良く保存されていると言える。
     1907年建設の四山発電所で起こした電力を、鉄道用に変電する施設として、1909年に発電所の南隣に建てられたもので、当初は四山変電所と呼ばれた。その後、発電所が三川発電所と改称されたのにともない、三川変電所と改称されたという記録が残る。三川配電所と呼ばれた時期もあるようであるが、1990年の近代化遺産の総合調査の時には、三川電鉄変電所と呼ばれていたため、近代化遺産としてはこの名称で周知された。
     三池炭鉱閉山にともない、三池炭鉱専用鉄道の本線の大部分が廃止されたため、本来の変電所としての機能は役目を終え、重要な近代化遺産として、保存・活用が期待される。一方、当時の所有者の三井石炭社としては、不要な施設として解体が予定される状況であった。その時この建物を救ったのが、現在の所有者である株式会社サンデン(代表取締役・北川義法氏)である。
     サンデンは、元は三池炭鉱の電気工事を請け負うことで経営を維持していた。仕事を通じでこの建物の素晴らしさをじかに感じ、愛着を持ったいたため、解体の危機を見る見かねて、会社規模からすれば大変に思い切った投資をして買い取られたとのことである。閉山後、敷地には草木が生い繁り、一時は廃墟の観を呈していたが、北川氏の手により完全に復活を遂げた。近代化遺産の保存は使ってこそのもの、というのを実感させられる取り組みであった。2000年12月には国の登録文化財となった。
     また、最近、この建物には新しい生命が吹き込まれた。北川氏は、この建物の屋根に太陽光発電システムを設置したのである。会社の事務所兼資材倉庫とされてきた建物が小さな発電所の役割も担うようになった。歴史的建造物の再生保存活用に加え、次代に期待されるクリーン・エネルギーの実践の場としても生かされていくこととなり、今後の展開が楽しみである。

    ▼大牟田市新港町1-30▼西鉄大牟田駅から西鉄バス三川町1丁目下車、徒歩約5分▼株式会社サンデン▼0944-57-6435▼見学は直接申込み

    このページは大牟田市役所に勤務する主査・主任で構成する互助組織「大牟田市役所主査・主任会」で編集され発刊された「大牟田の宝もの100選」の中から紹介するページです。 発刊時のデータをそのまま引用していますので、問合せ先等に変更がある場合があります。ご確認をお願いいたします。
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